|第3回目のアートマネジメント講座に行ってきました
先日、12/17(土)に開催された第3回目のアートマネジメント講座に行ってきました。
今回は特別編というこ事で、実際に開催されている大規模な芸術祭を事例にして、アートプロジェクトがもたらした変化についての講座になりました。これまでの講座に比べて情報量が多く、気づきになるキーワードもあって、これからの活動へのヒントをたくさんもらいました。
|アートプロジェクトがもたらす変化
講師として大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭で総合ディレクターを務めている、北川 フラムさんからプレゼンを受けました。
まず、フラムさんのこれまでの経歴などから入って、大地の芸術祭についての説明がありました。
越後妻有の地形や気候、人々の暮らしをこれまでの世界の歩みと照らし合わせた話を聞いて、古来世間から追放された人々が行き着く場所でもあった越後妻有の文化や歴史の「価値をたどる旅」が大地の芸術祭の大きなテーマなんだと感じました。
そして、このプロジェクトを通じて閉塞感や孤立感のある集落の人たちに少しでも笑顔で元気になってもらおうという強い意志が伝わってきました。
また、溢れる情報を処理する能力の高さだけや、誰かと比べて平均化して物事を見てしまいがちな現代社会の価値観を、越後妻有の大地を旅することによって見つめ直し、疑い、確かめることにもなっているのだと思いました。
フラムさんの話から集落・地域が外の世界とフェイス・トゥ・フェイスで繋がることで、埋もれてしまっていた人々の生活や文化に光が射し、そうしたことで生まれる地域内外での双方向の変化が、これからの未来を考えていく事に対してとても大事なのではないかと気づきました。
|自然と人間の関係を現わす技術
芸術や美術、アートと呼ばれるものは様々なジャンルの中で唯一「他と違って良い」「何でもアリ」という認識があります。
その始まりは遥か昔、人間が狩猟後の動物たちに対して行う鎮魂だったそうです。
アートとは自身を取り巻く自然や文化、普段の生活の中にある言葉や形にすることが難しい事柄や思いを現わす行為なんだと思います。
フラムさんは美術とは「自然と人間の関係を現わす技術」だと言っていました。
アーティストという誰よりも感性の鋭い人たちが、その美術を使って集落・地域の中で「面白い物を見つけて、面白いことをやっているのだから面白くないわけがない」それがこの芸術祭なんだという話でした。
色々な批判やしがらみなどを超えて単純明快なその言葉を聞いていて、とてもワクワクしました。
この気持ちが伝播して地域や世代、ジャンルを超えて大きなうねりになっていくのがアートプロジェクトの力なんだと感じました。
|地域×地域外
地域で開催するイベントについて、僕はこれまで地域の人を使ってなるべく地域の人を中心に据えた物にしようという考え方をしていました。
しかし、大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭を例に倣うと地域の中に地域外の人が積極的に入って行くことで、地域の中からは見えていなかった生活や文化にスポットが当たり、そこから地域を再発見しているということが分かりました。
排他的で閉鎖的になってしまっている過疎地の空気を、アートという道しるべを頼りに日常性を跨いで様々な人が行きかうその光景はとても魅力的で、これまでに無かった新しい価値を生むものだと感じました。
また、地域外からの新たな変化を受け入れ、自分たちで地域を耕し人の心を耕していくことが、これから先の未来に求められていく姿なのかもしれないと思いました。
|競争と共創
地域や集落を競争させることが大事。そうフラムさんは言っていました。
芸術祭の会期よりもそれが終わってからの期間の方が大事で、アートを通じて入ってきた自分たちとは違う他者を迎えてどうやっていくのか?
これまでは行政に対して、おんぶに抱っこになってしまっていた地域が、他の地域と半ば競い合いながらその土地の事を皆で考えていく。
他人事だった事が自分事になっていき、地域外から来た人と共に考えながら形を創っていく。
そして、この競争しながら共創してそこで何かが花開くことが重要で、将来性のあることなんだと感じました。
この流れはまさしく僕がこれから目指していくべき町の姿だと思いました。
|「ひとりで見る夢は夢でしかない。しかし誰かと見る夢は現実だ。」
最後に山出さんとフラムさんとのクロストークの際に山出さんがこの言葉を使われていました。
「ひとりで見る夢は夢でしかない。しかし誰かと見る夢は現実だ。」
オノ・ヨーコさんの言葉で、僕はこの言葉がとても好きです。
夢を描くことは誰にでも可能で、でもそれを現実のものとしようとした時には、きっとたくさんの人の助けがあって少しずつ少しずつ形になっていくんだと思います。
僕の夢も今はまだ夢のままですが、これから地域内外の方や行政と手を取り合いながら現実へと形にしていきたいです。
|これからのこと
今回の講座の随所で気づかされたことの中で、地域の文化や生活を深く知ることが大切だということが大きかったです。
当たり前のようなことなのですが、地域の事を知らずに地域の事は考えられません。
単純にそこで何か新しいことをすれば良いわけではなく、地域の文化や生活の深い本当に深い部分まで知って、そうして長い年月をかけて繋いでこられた土地の上でそこに暮らしている人の思いや感情を大切にし、これからのことをみんなで考えていくことが大切なんだと改めて気づきました。
僕はそもそも地元だったのでその部分を考えることが少し抜けていたように感じました。
これまではやりたいことが先行してしまいがちだったのですが、これからは地域の声や土台である文化や歴史を聴くことも並行してやっていきます。