|第4回目 企画審査会
09/30(土)に第4回目の『アートマネジメント講座・実践編』が開催されました。 最終回の今回は模擬審査会を行いました。内容としては1人20分の持ち時間で10分間のプレゼンテーションを行い、残りの10分間で審査員から質疑を受ける流れでした。 その後、審査員は約40分間の審査を行い、山出さんより審査結果と各審査員より総評が発表されて講座は終わりました。 今回審査をしていただいた審査員は以下の2名でした。 ・元アサヒビール芸術財団顧問、クリエイティブ・ディレクター:加藤 種男氏
・別府温泉ホテルニューツルタ代表取締役:鶴田 浩一郎氏
そうそうたる面子に恐れ多いなという気持ちもあり、更には山出さんから事前にとても厳しい方々なのでという前振りも受けていたのでかなり緊張をしながらのプレゼンになりました。
|またもやトップバッター
今回も例のごとく五十音順での発表だったので、トップバーッターとしてプレゼンに挑みました。
前回のブログで書いた申請書から添削したものをさらに事務局から事前添削してもらい、書き上げたものが以下になります。
1 補助事業の目的
現在の玖珠町の町並みには人の営みや往来が減少し、町の賑わいが失われている。そこで、玖珠町に住んでいる人と町を訪れる人とが交差する場所を新たに作りだす。町内外の人がそこで交流をすることで、あらゆる視点から玖珠町でのこれからの暮らしを見つめ直すきっかけが生まれる。そうしながら、一人ひとりが自分の暮らしを作っていくことで地域の活性化を促す。
2 補助事業の概要
本事業では多目的な活用が可能なコミュニティースペースと、町外から訪れた人が町を回遊するための拠点となるゲストルームの2つの空間を制作する。商店街の空き物件を活用し、町内外の人が協働して制作を進めることで地域資源の活用を促す。完成した空間を地域住民が運営することで、他者との積極的な交流が生まれ、その場所から町内全域へと広がる地域の活性化を創出する。
3 補助事業の完了予定年月日
平成31年 3月 31日
【事業名】 玖珠町における地域内交流を促す環境整備事業「玖珠焦点街」
【補助事業者名】 玖珠焦点街実行委員会 (実行委員長 井上龍貴 TEL 080−4315−0521) 【補助事業者の概要】 平成29年12月に発足予定。
当事業の運営を目的とし、地域内交流促進を目的に組織された実行委員会。
実行委員長1名、副実行委員長1名、監事1名、 参画団体として商店街組合3名、玖珠町商工会2名、
玖珠町役場2名、 玖珠町観光協会2名 の計12名で構成される。
【補助事業箇所】 大分県玖珠郡玖珠町帆足 豊後森駅通り商店街周辺
【補助事業実施時期】 平成30年 4月 1日 ~ 平成31年 3月 31日
【補助事業の目的】 【課題背景】
玖珠町では域内流通の商売が主流だったため、人口減少と共に町の中心部である豊後森駅通り商店街を利用する人
ですら減少している。商店街の全店舗数に対して55%以上が空き店舗となっており、人の往来も減って新たな交
流を生み出すことが出来ずにいる。
【補助事業の目的】
豊後森駅通り商店街の空き物件を活用し交流の場を作ることで、町内で様々な人が交わりながら町の未来を考える
きっかけを創出する。それによって、停滞していた町内でのコミュニケーションが促され、地域の活性化へと繋が
る。これからの玖珠町での暮らしを皆で考え、その暮らしの実現へ向けた出発点とするため、町の内部と外部の人
との交流を促す環境を整備することを目的とする。
【補助事業の内容】 町内各地に散らばって暮らしている地域住民や町外の人間が交わる場所として、沢山の人の焦点を集める内容なので事業名を『玖珠焦点街』とする。
本事業では豊後森駅通り商店街の空き物件を活用し、町内外の人たちが集える交流スペースを制作する。制作する空間は①コミュニティースペース、②ゲストルームの2つの空間となる。両空間とも町内外から公募した人材と共に協働して制作を進める。
①のコミュニティースペースは、地域での交流を促す空間にするため、創作活動の発表や、玖珠町産の飲食物の提供などが行える多目的な利用を可能とする。完成した空間を地域住民が運営することで、他者との積極的な交流が生まれ、そこから地域の活性化へと繋がる。
②のゲストルームは、町外から訪れた人が実際に移住したと想定をして住居空間を制作する。制作にはアートディレクターとして福岡県で破壊作家として活動する貞森博喜氏を招へいする。 地域の工務店や設計事務所が制作チームとして参画し、アート×建築でコラボレーションした住居空間を一つの作品として、地域住民や町外の人と協働しながら制作することで停滞していた町内外の人たちのコミュニケーションを互いに促す。
2つの空間にはリノベーションを活用した工法を用いるため、制作チームには現場管理が可能な人材を外部へと委託する。
【事業スケジュール】
6月~ 7月 webサイトオープン、ポスター・チラシの配布
6月~ 8月 コミュニティースペース制作
8月~ 9月 ゲストルーム制作・アーティスト滞在
6月~ 9月 コミュニティースペース、ゲストルーム制作への参加 及び見学可能期間
10月~11月 ゲストルームへの宿泊可能期間
12月~ 1月 報告書作成
2月~ 3月 記録集作成
制作には数回の公開制作をワークショップ形式で取り入れ、様々な人が携われる機会を作る。完成後のゲストルームには実際に1ヶ月間アートディレクターである貞森氏に滞在、生活をしてもらうことで、玖珠町に移住する・されるという体験が互いに生まれる。また、その後「第33回国民文化祭・おおいた2018」の会期中には1日1組限定の宿泊スペースとして貸し出し、町外から訪れる人へゲストルームを通じて滞在型の文化体験をさせる。 コミュニティースペースでは、その運営や企画などを地域住民が実施することで地域と共に成長していく新しい公共の交流スペースとなる。さらに、宿泊客や事前予約をされた方を対象に国民文化祭のプログラムと連動させたツアーを開催し、地域住民がガイドとなって町中を巡る。地域の魅力を発信することの可能な人材育成も合わせて行い、自分たちの玖珠町での暮らしを町外へと周知していく。 【補助事業の効果】 ・豊後森駅通り商店街の空き店舗を活用することで、他の地域資源の活用を誘発することに繋がる。
・コミュニティースペース、ゲストルームによって、玖珠町に滞在する人口が増え、玖珠町をより深く知ってもらう
きっかけが生まれる。
・アートディレクターを招聘し、協働した空間制作を通して、関わる人たちの創造性を触発することが可能。
・町内の人たちにこれまでにない交流が生まれ、豊後森駅通り商店街を起点にした地域の活性化が見込める。
・新しい暮らしや商いの可能性を見出すことで、これからの自分たちの暮らしを考えることを促す。そうして、
次の世代へと玖珠町の暮らしを引き継ぐために一人ひとりが自分の暮らしを作っていく動きが活発になる。
【年度収支予算書】
各項目に対して以下の質問や アドバイスを受けて、プレゼンは終了しました。 〈加藤氏〉 ・実行委員会に入ってる参画団体のうちどれが中心的になるか? →商店街組合になると思う。組合員は20〜30人程。
・貞森博喜氏は具体的にゲストルームで何をするのか? →実際に移住をしてきたと想定をして、部屋を作りそこで暮らす。 古新聞やリサイクル品を利用して作品を作る作家。 何にでもない物に価値の見いだすことが可能な作家であるため、商店街の空き物件という、
住民が価値を見いだせていないものに内部の人が気づいていないような気づきを与えられるのが、
貞森氏であると考えて選定をしている。また、「移住」という商店街が未だ体験をしてきていないことも
同時に体験してもらいたい。実際には部屋のアートディレクションを実施して、施工は町の工務店や
町内外の人が協働して実施する。
・想定ではなく、本当に移住可能な人でやれないか? 会期中に人が住まないよりは良いと思うが、恒久的に誰かが住むという方が地域住民との交流は
より生まれるのではないか? →「移住」から「定住」となるので、本当の移住者となるとハードルが高い。 実際に短期間ではなく、長期間で住める物件が商店街の中ではなかなか見つけるのが難しい。 まずは、短期間でも多くの人が玖珠町に滞在することで、再訪や移住といったことを考えてもらう
きっかけを創出したい。
・コミュニティースペースという場所だけがあって人が来るのか? 最初はアーティストなどがいるので、1回は来るかもしれないが、2回目に繋げる仕組みが必要。 →現在の考えでは、まだ明確な使用方法などのビジョンが打ち出せていないが、コミュニティースペースの
運営方針や企画づくりに関しては、今後実行委員会を組織していく中で地域住民や町外の人を交えながら、
みんなで決めていきたい。
・リノベーションを活用した工法だが、外部には一切委託しないで全て町内の人でやった方が良いのではないか? 自分たちでリノベーションするという事例が上手くいけば先進事例となり、他の人が後に続くことが出来る。 地域振興の観点から見ると、そのビジョンの方が良い。
〈鶴田氏〉 ・事業者の中で現場で高いモチベーションを持って実働できる人は何人いる? 自分のチームを今後築いていける見込みはあるのか? →既に商店街組合の方でお祭りなどのイベント精力的に実施している方がいるので、そういった人たちを
巻き込めれば5〜6人は見込める。
・町内でこの企画に共感・賛同してくれる若い世代が5〜6人いれば、事業は上手くいくと思う。 ただし、人がいないと形だけの組織では絶対に上手くいかない。 プロジェクト動かす時にはチームが出来ていないと上手くいかない。
51日間の会期のみで行うイベントなのか?それとも継続的に運営をしていくものなのか? 会期のみであれば一旦終わって今後の活用方法を考えるという手法もある。 継続的ならその旨をもっと書き込む必要がある。 どちらにせよお金をかけて実施するものなので、指標となる想定動員は書かなければいけない。 例)〜日間で〜人の動員が見込め、〜円の消費が見込める。 事前に聞いていた冷たい怖い印象とは全く違って、とても親身になって企画内容や文章のテクニック的なことに対してたくさんのアドバイスをいただきました。 正直自分でも悩んでいる部分や、ちょっと理由づけなどが弱いなと感じている部分などを的確な突いてもらえたので、本当に参考になりました。 二方のアドバイスや指摘を上手くこの企画に乗せることが出来れば、地域にとってより良い企画になるはずなので、これからもっと企画を練りたいと思います。
|採択出来るグループと採択出来ないグループ 受講生7人のプレゼンが終わった後、審査員による審査が行われ、山出さんより採点結果の発表がありました。 以下の5つが採点基準となるポイントとして上げられていました。
1、主体性 :自らが主体性を持って事業を行えているか。グループで組織を作って事業に広がりがある。 2、地域課題の解決:地域の課題を的確に捉え、適切な解決方法を提案出来ているか。 3、独自性 :アートという観点から、新しい価値を創出する個性のある活動となっているか。
他の地域のモデルとなる事業か。 4、広範性 :事業に広がりがあるのか。アートの枠内だけでなくどこまで広がるのか。 5、持続性 :2ヶ月間の国民文化祭の期間中だけではなく、継続して事業が実施可能か。
今回は具体的な点数の発表でなく、観光カリスマとして観光という観点から助成金や補助金、県の審査も実際に行なっている鶴田氏と、福武財団を始めとしたたくさんの助成団体の審査に関わり、日本の地域における文化振興進め国を動かしてきた加藤氏、この2人によって今回プレゼンされた企画が、実際に同様の要網を掲げた補助事業の審査で採択の部類に入るか入らないか、という観点で採点をされました。 7名のうち2名の企画が採択出来るグループとなり、残りの5名の企画は採択出来ないグループに分けられました。 結果として僕の企画は採択出来るグループに入ることが出来ました。 理由としては同事業が日本全域で盛り上がり始めている部類であり、尚且つ県内で実施しているところはなく先進事例となり得るため採択可能。ただし、スペース活用方法のアイデアをもっと集めることと作文能力、プレゼン能力をもっと高める必要がある。企画のアイデアとしては、いけるアイデアである。
採択が出来ないグループは以下の内容が不十分であるため、採択が難しいとコメントがありました。 ・企画内容としては採択可能だが、既に数年続いている企画であるため継続事業となり、補助事業としては認められない。 ・行政職員が書くような、責任を持って使えるよう言葉しか並んでいない書類を見て採択をすることを考えるだろうか。企画によって何をして、市民・町民に何を還元するのか?という部分が薄い。 ・企画が現実的になりすぎて、金額面が少なくなっていっている。重要なのは企画の実現が可能か不可能かではない。地域にとって何が必要なのか?どうあるべきか?が重要。 ・地域の課題に対して、なぜその企画なのか。という企画の考え方やその伝える方法が大切。
講座の最後に加藤氏、鶴田氏からそれぞれ総評として以下のコメントを話してくれました。
〈加藤氏〉
採択した企画に投資した金額がどんな効果があるか。
お金を出してもらってどんなことが実現して、どんな未来が待っているのを伝えて欲しい。
プレゼンは審査員が企画書を読んでいる前提でプレゼンテーションするべき。
企画内容は知っているのだから、申請書に書いていない部分や、書いているけど、
ここは大事な部分といったところを話すことが重要。
今回の審査はプレゼン前の申請書のみで審査をしており、審査に対してプレゼンでの大きな変化はなかった。
地域創生事業を考えている段階で、人口が減っている、高齢化・少子化が進んでいる、空き店舗が増えている。
という前振りはそんなに重要ではない。むしろ、人口減少・少子高齢化を食い止めることは出来ない。
もう無理だという前提を持って地域の少ない人口で何をやっていくのかが大切。
地域の高齢者の活用を考えていくことが重要。高齢者は声をかけられることを待っている。
合法的に高齢者に消費活動をしてもらって若い世代へと循環する仕組みを考えていく必要がある。
〈鶴田氏〉
補助金の申請には要綱をしっかり読み込み作文する技術が必要。プレゼンのある申請の方が珍しい。
どんな作文でもテクニック次第で落ちない作文を作れる。しかし、「それだけ」の企画では地域は変わらない。
地域を活性化するのであれば企画のアイデアを実現する必要あり、そのためにはお金と人が必要。
お金は後からついてくるので、まずは資質を持った人材でチームを作ることが重要。
お金に強い人、表現に強い人、企画に強い人 の最低3人は必要。これからの時代ではICTに強い人と女性の感性が重要。この要素が揃っていれば人口2万人以内の町であれば変えられる!(ただし時間は5~10年はかかる。)
ソーシャルキャピタルをしっかり作り、ネットワーク型の人間関係を域内外で形成していないと経済的な価値が生まれない。
|これからのこと
今回のプレゼンを通じて、現状の企画に足りていないものがたくさん浮き彫りになりました。
実際に物件を貸してくれる大家さん探しの問題もあって、場合によってはこの企画は実現出来ない
可能性もあるのですがこれからの活動を考えて、まず、すぐにでも取り掛かりたいのはチーム作りです。
ユニットに女性は既にいるので お金に強い人、表現に強い人、企画に強い人、ICTに強い人 この4人を探します。
なんだかRPGみたいな展開になってきましたが、アイデアと人を募集することにしました。
とりあえずは、所属している玖珠町役場に相談して、地域おこし協力隊の枠があと3人分空いているので
その枠をこの募集に活用して良いという承諾をもらったので、我こそはという方はぜひ玖珠町に来てください。
詳細は玖珠町役場かKUSU NO KOTOへ問い合わせてください。
どうぞよろしくお願いします!!