|国東半島アートガイド講座
01/16(月)~03/07(火)の間で「国東半島アートガイド講座」を受講していました。
まず、「アートとは」というテーマでアートとは何かを理解するとともに、
アートプロジェクトによって地域にどのような変化がもたらされるのか、各地の事例をもとに学んでいきました。
それを踏まえ、2014年に開催された「国東半島芸術祭」の概要や開催の目的その成果について知っていくという流れの講座になりました。
最後には実際に国作半島へ行き各エリアのアートプロジェクトを巡り現地講習も行いました。
前半の講義では「アートとは」というテーマでBEPPU PUROJECTの山出さんより講義を受けました。
これまでアートという分野に密接に触れてきていない自分にとっては、とても新鮮で刺激的な話ばかりでした。
アートマネジメント講座とはまた違う角度から美術やアートというものを真剣に考える時間になりました。
|美術と現代アートの違い
「美術」と「現代アート」と呼ばれるものの違いについて以下のように教わりました。
・美術とはキャンバスの内側で伝えたい何かを表現すること。
・現代アートとは作品そのものだけではなく、鑑賞者など、作品を取り巻く環境によって成立している。
現代アートの父と呼ばれているマルセル・デュシャンの発表した「泉」という作品以降、
作品そのものだけでなくその周りの環境も作品の一部と考えるアート作品が出現してくるそうです。
目の前にある作品を観て沸き起こる疑問や違和感などもまとめて鑑賞者がそれぞれに受け取り完成しているのが現代アートなのかなと感じました。
|アートプロジェクトとは
ではアートプロジェクトとはどういうものを指すのか、ただのアート作品では無い
アート”プロジェクト”には作品に「時間の概念」が入ってくるものを指すそうです。
例として川俣 正さんの作品について説明を受けました。
例)川俣 正「ワーキング・プログレス」
オランダ・アルクマー
麻薬やアルコール依存症の人々がリハビリする施設にて展開されたアートプロジェクト。
患者を施設外へと向かわせ、社会復帰を促す作品。
まず通路を作り、終点が川へ繋がっていて、今度はそこで船を作り別の場所へと進んでいく。
作品を作成して鑑賞するので完結するものではなく、その過程が作品となっている。
作者のみではなく、様々な人が関わり一つの作品が完成していく。
患者たちが作品を作成をしている。
アートプロジェクトとは完成されたものが作品なのではなく、その過程も作品の一部であり
多方面から様々な人が交わり関わっていくことで作品の向かう方向が決まっていくように感じました。
|アートプロジェクトに大切な5つの要素
アートプロジェクトを成功させるために必要な要素が5つあります。
1、制作のプロセスを重視し、積極的に開示。
2、プロジェクトが実施される場所やその社会的状況に応じた活動を行う。
3、様々な波状効果を期待する。継続的な展開。
4、様々な属性の人間が関わるコラボレーションと、それを誘発するコミュニケーション。
5、アート以外の社会分野の関心や働きかけ。
5つの要素に共通していることは「整理」をすることなのではないかと思いました。
当たり前のことですが成り行きでは絶対に成功は考えられないですし、単発のイベントになるのだけは避けなければいけないと思います。
僕らが暮らすこの玖珠町で何かが起こり、気づき、変わり、続いていくその流れを作る必要があります。
|なぜ今、文化芸術が都市にとって必要なのか
最後に、現在各地方で増加している芸術祭などを通じて、なぜ今文化芸術が必要なのかを考えていきました。
・アートとは自由なものの見方や考え方を促し、「気づき」を与える触媒である。
・アートは地域の課題を「解決」しない。問題の「提起」を行う。
・文化・芸術は都市や地域の暮らし、経済活動において
「質」を高めたり、「新たな価値」を生み出していく要素となる。
・モノ→コト スペック→感性価値
物質的な充足感から精神的な満足感へ、性能の高さで競う時代は終わり、数値化できないことへの重きが高くなった。
『創造力』は社会を豊かに変えるエネルギーである。
山出さんより上記の説明を聞いたのですが、この後実際に国東半島の各エリアのプロジェクトの話を聞きながら
地域に起こった変化が果たしてアートプロジェクト以外で起きていたのかと考えるようになりました。
「最初は現代アートが何かは分からなかったけど、地域の魅力や課題を浮き彫りにしてくれる一つの手段だったと気づいた。」
地域に密着するアートプロジェクトには是非があるようですが、現地講習の際に地域の方から聞いたこの一言には納得ができました。
ある種の異質なものが地域に入ることによって、その地域の滞っていた何かが動き、地域について改めて考えていく。
アートプロジェクトにはそういった過程を作り出す力があるのだと感じました。
そして、長くなってしまったので国東半島芸術祭の概要と各プロジェクトの概要や現地講習については次回書きます。